宝塚ブログ・お茶の間タカラヅカ

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花組東京千秋楽~柚香光さん(伊集院忍)

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<華優希さんの退団発表前に書いていた記事です・・・>

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東京公演を無事に完走できた花組の皆様、本当にお疲れ様でした。心から「千秋楽おめでとうございます!」

しばらくの間、たとえ数日であっても心穏やかに安まる日が過ごせますように。

 

私はと言うと・・・興奮冷めやらぬ中、個別感想なぞを少々書きなぐってみたいと思います。

 

物語導入から少尉は別人28号でした

まず始めに。24日の配信感想で、「レディキラー」な少尉はたまたまだったのだろうかと書きました。たまたまでした。千秋楽では全くもって女学生のキャッキャウフフに対してはほぼ無表情でした。

改めまして。

24日の配信・・・いえ、3年前から続いた少尉像とは180度違うくらいの人でした。

そうか。これが柚香さんの伊集院忍最終形態か。これが柚香さんの演じたかった少尉なのか。が、全体を観て受けた大きな感想です。

 

一言で言うなら、青い炎を秘めた落ち着きある大人な少尉でした。

 

流れに逆らわず、誰も傷つけないよう誰も傷つかないよう全方位にアンテナを張り巡らせ、大人社会の中で育った子供が老成するように、黙って周囲を見ながら全てを受け止めて生きていく。そんな雰囲気を醸し出している少尉だなぁと私は感じました。

そして優しい。とにかく優しい。全編何処を切り取ってもひたすら優しい。大人の余裕を感じさせる優しさ。少尉がというより柚香さんご自身の変化っぽくも見えました。ちなみに優しい人は強いのです。これ、私の持論ですが。

 

今更なお話なのですが、私は観劇時に「役の年齢設定」を考えるタイプです。柚香さんは少尉の年齢設定をおいくつにされていらっしゃったのでしょう。

漫画の中を見落としていない限り「はいからさんが通る」の伊集院少尉の年齢はハッキリしていないんですよね。紅緒は17歳となっていますが、少尉は紅緒のお父さんが「年まわりがちょうどいい」と言ってるくらいなんです。

大正7年当時の陸軍士官学校は卒業時だいたい18~21歳で、その後は陸士、見習士官、そしてようやく少尉任官。ここまで2年近く。なので紅緒と初めて会った時20~23歳くらい?(そこから物語の最後は5年後なので25~28歳?)でも高屋敷さんが「ハーフで昇進の見込みが薄い」と言っていましたので、もしかしたら万年少尉?!(どこかの万年少佐?!)・・・なわけない。

とにかく、この時代の青年は現代と違ってとても大人なので、二十歳そこそこでも大人な少尉は納得できました。育った環境も環境ですしね。なので“笑い上戸”の部分が非常にクローズアップされました。

 

紅緒さんと出会ってから人として成長する少尉が視覚的に見れた

衝撃的な紅緒との出会い。いままでの紅緒をからかうような、珍しいものを見るような、おもしろくてちょっかいをかけるような、漫画通りの“まだ恋愛感情が無い少尉”とは違っていました。見るからに真面目で誠実そうな伊集院少尉。(冒頭の女学生たちとの流れから違っていました)

銀橋のお歌で、紅緒のリボンを触ろうとして弾かれた手を見つめる瞳が切ない。

大人な少尉は常に柔和な表情で、そこに初めて出会ったタイプの女性(紅緒)に対する戸惑いや驚きの感情が細かい。

 

 『神様からのギフト』、元気はつらつ破天荒な紅緒をとにかく優しく丁寧に扱う。“花嫁修業”のサンドイッチは尋常じゃ無く穏やかで優しかったです。(ここの「♪元気だして♪」の柚香さんのウィスパーボイスがツボです)

紅緒が「怒るって事を知らないの?」と言ってしまうくらい、少尉のどこか人としての違和感(生い立ちによる自制心)があっても、ここまで誠実な優しさで接せられ続けたら・・・そりゃぁ紅緒も少尉のこと好きになりますから。

それにしても。台詞では無く目線や細かな表情で、観ているこちら側に伝わってくるって・・・どーゆーこと??てくらい柚香さんの演技に深みを感じたんです。演技の一つ一つがとても繊細で綿密になってたんです。どこかどっしりと、肝が据わった演技とでもいいますか・・・自分でも何言ってるかわからなくなってきました。

とにかく。千秋楽ではこれらが小さな所作や表情で穏やかに静かに変化していくのを見て取れたのです。 映像でコレですから、生で観劇していたらもっと堪能できたことでしょうね。観てみたかったです!

 

蘭丸と青江冬星の存在

その中で、少尉が成長するにあたっての重要なこの二人。

花乃屋では蘭丸の「男の本気」で諭され、紅緒を妻にすることによって誰か(この場合蘭丸)が悲しむという事を、紅緒と紅緒に関わる人の人生を背負うという本当の意味を理解するその時間をたっぷり使って、表現も重くなっていました。(真面目な少尉だ)

その流れで紅緒を抱きかかえる動作に“ため”が生まれ、「夫が妻を~」と言葉にするまでの“間”で決意の感情表現、紅緒に「あなたは?」と聞き返すときの『他人』が『自分』をどう思っているかを知るちょっと不安にも似た表現。

とにかく表現が細かくて重い!ズシーンときます。

この一連の流れがもう本当にびっくりするほどの変化でした。24日の配信から千秋楽の間のどこで変化したのか・・・すごいですね。

二幕の、編集長から紅緒が逮捕されたくだりを聞くやりとり。千秋楽は少々優柔不断に感じられた少尉でした。(そんなんだから編集長に喧嘩売られるんですよー)

蘭丸に諭されて誓ったはずなのに自分はまた間違ってしまったのか、と自嘲し歌詞の通り「決して離さない」と行動を起こす覚悟の表現もとても深かった。

覚悟のオンパレードですが、今まで受動態だった少尉が自分から行動を起こす(自分の望みを発信する)という成長の課程一つ一つが『覚悟する』ことみたいなんですよね。それを柚香さんが噛みしめるような演技を見せてくださるものですから深いなあとか思います。
 

その優しさは少尉?それとも柚香さん?

ものすご~~~くときめいた場面は多々あれど、一番キュンとしたのがじつは浅草の場面。少尉が紅緒の頬を叩く所と、手を取って走り去る行動が私のキュンでした。

紅緒が「あなたの世話になんてなりません!」と言った時に少尉は頬を叩きますよね。音で例えるなら「パシッ!」な強さでしたよ。わりかし痛そうでしたよ。それが「パンッ!」と弾くような叩き方に変わっていたんです(ペチッでもいいけどあえてパンッ!)。漫画とかでも「目を覚まして」的な頬を軽く弾く叩き方。リストを使った叩き方です。

そして、今までは『俊足・柚香光!』の走り方だったのに、少しゆっくりで女性に合わせた走り方になっていたんです!紅緒を気にするそぶり(振り向き)も追加されていて。

や・・・優しい。コレって両方とも優しい男性的な行動ですよ!全国の男性の皆さーーーんっ!見てますかーーーっ!と心の中で叫びましたとも。残りの2カ所ほどは当然『俊足・柚香光!』のままです。この優しい行動はいつから?いつからなんですか?!引っ張られるがままだったはなちゃん(紅緒)だったのに。どんなけ優しいんですか少尉。

余談ですが、ラリサに入れてもらった紅茶(フーフーして飲みましたよ)を返しに行く時も、今までは動作の流れだったのにガッツリとラリサを見てから袖に歩いて行きました。

こういった「相手」を明確にした演技っていうのを見るのは大好きです!

  

優しくても戦いのプロ・軍人です

シベリアの場面も、反政府運動の溜まり場でも、殺陣の「必死さ」が薄くなっていました。軍人は喧嘩上等!戦いのプロフェッショナル集団です。(リーダーには突き刺されちゃいますけど)

素人相手(三下すみれ)は置いておいて、テロリストや敵兵と戦う時にはある程度冷静さが欲しいところです。そうでないと生き残る確率は減りますからね。それに上官がいっぱいいっぱいだったら部下たちも焦ります。なのでいい具合に力が抜けて冷静に戦う少尉は今までよりさらに格好良かったです。

それにしても柚香さん、大日本帝国陸軍の軍服が本当にお似合いです。金髪でもお似合い。シルエットもまた美しい。

「青い炎を秘めた」と一番最初に書きましたが、反政府運動の件で高屋敷さんと相対したときに感じた事です。ここも動きがゆっくりになっていて「必死さ」よりも精神的な「強さ」を表に出していたような。静かに感情を(初めて)爆発させた少尉の雰囲気が、例えるなら瞳に青い炎が宿ったとでも言いましょうか。とにかくやみくもでは無くなってる事がかえって感情の高ぶりを感じさせるというか。静かに怒る人の方が怖い。少尉は怒らせたら怖いタイプ。

最後の銀橋の場面で、軍人の少尉が本気で冬星さん殴っちゃダメだと毎回思いながら観ています。痛そう~。千秋楽も少尉の拳は痛そうな音がしてましたよ。冬星さんの顎がガクガクになっちゃう(笑)。 

 

紅緒との愛の深まりがより濃くなっていた

凍死寸前(何度観ても良い!)の少尉の瞳にも「生」への執着が燃えていて。柚香さんとはなちゃんの、お互い顔が見えないにもかかわらずあのような演技をやり合えるなんて、信頼関係の深いお二人だな~本当に良いもの観させていただいているな~と毎回思います。(「シャルム!」のレジスタンスの場面も大好きでした。)

拘置所の少尉と紅緒は観る度に全然違いますよね。千秋楽は声も力強くとても頼もしい少尉でした。この場面、柚香さんのお顔(表情)は軍帽で見えない箇所が多いのですが、その分はなちゃんの“応える演技”でわかるというか雰囲気が伝わるというか。とにかくはなちゃんを通してお二人の心の交流がより濃く伝わってきて大好きな場面です。

観る度に違うと言えば、教会の場面も感情の起伏が毎回違いますよね。(スキットル見えなかった・・・)観ていて本当に引き込まれます。

ラスト。紅緒から決意の口づけをされた後の少尉・・・思いっきりツボに入りました。ちょっと戸惑ってた。あれ反則でしょう(笑)。見つめ合ったり桜を見上げたり。お二人の日々変わる流れに幸せを感じずにはいられないです。 

 

小ネタ系

二幕のロシア帽姿がツボ。とてもお似合いなので。モコモコお似合い。

ミハイロフ侯爵から少尉に記憶が戻った時の場面で、ラリサが退場するとき少尉がついて行こうと数歩動いたのを初めて見ました。今まで棒立ちか上半身くらいだったと。

鬼島軍曹に剣を向けられて転がるところツボです。大好き。そういえば柚香さんってマントのさばきがお上手ですよね。色気があるというかなんというか。どんなお役の時でも結構ツボ。

 

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<ここからは、はなちゃんの退団発表後に書きました。思っていたことを素直に書けなくなっていて、かなり悩みました。>

 

ブライダルデュエット

私の中で一番だった、紫苑ゆうさんと白城あやかさんのお披露目デュエットダンスを超えた今回のブライダルデュエット。大劇場よりもさらに東京版がとても好きでした。

柚香さんのはなちゃんを見る瞳、表情、仕草、全てにおいてお優しい。忍と紅緒として踊っているお二人なのは重々承知ですが、私の目には“れいはな”なんですよね。

柚香さんが歌劇9月号で「華ちゃんと目が合った瞬間に安心する」「本当にリラックスして踊っている」「幸せが募りきった瞬間」等とおっしゃっていたように、こんなに多幸感溢れるデュエットダンスは今まで見たこと無かったです。心が嬉しくなる、温かくなる、愛しさが生まれる。千秋楽は特に感じていて。

大劇場の時よりもはなちゃんに“合わせた”部分を感じていたのも、今思えば「・・・そっか」と納得する気持ちです。

おでこコツン(タカラヅカニュースでも流れましたーっ!!)は、柚香さんが少尉と紅緒を『昇華』させたからかな~と思っていましたが・・・単純にはなちゃんへの愛だったのかな~とか。このときのはなちゃんの柚香さんを見つめる笑顔も長かった。

お二方の中にある愛情に変わりは無いとは思いますが、今思えば名残惜しい感情の昂ぶりだったのかもとか思ってしまう自分がいます。全部後付けになるから困ります。

 

とりあえず、長々と書きましたがこのあたりでやめておきます。

あ。最後に一言良いですか?

・・・なんで指輪無かったんですかーーーっ!ペアリング見るの大好きなのにーーーっ!大階段のところで直ぐに気付きましたよーーーっ!

 

 

 感情の羅列を最後まで読んでくださいましてありがとうございました。本当に長くなってしまいました。次回は華優希ちゃん(紅緒)編を予定していますが・・・こちらも途中で止まったままです。・・・悲しい。

 

 

 


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